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スタインウェイと特許

掲載日:2014/12/02

スタインウェイは1857年以来、127の特許を取得しています。特許の内訳は、新規の発明だけでなく、実用的な構造、材料、形状寸法の特徴と、その作用効果が明らかになった技術についても登録しています。スタインウェイの特許がピアノにどのような影響をもたらしたか見てみましょう。

スタインウェイと特許

ヘンリーJr.の交差弦方式とアクションの改良

スタインウェイの特許のうち最初の7件は、1857年から1862年にヘンリーJr.が取得しました。そのうち6件はアクションに関するもの、1件は交差弦方式です。
1854年、スタインウェイ一家がドイツから船でアメリカに渡って4年目に、スタインウェイ&サンズはワシントンDCのメトロポリタン職工協会展に2台のセミグランドピアノを出展しました。それが彼らの初めての出展で、しかもこのうちの1台が優秀作品賞を受賞したのです。

ニューヨーク・タイムズ紙が「わがニューヨークは展覧会の逸品を提供した。その逸品こそスタインウェイ&サンズのピアノである」と報じました。「何物も比較にならないほど優れている。豊かで、よく響き、朗々として、均一で、甘美で、輝かしい」と賛美したと言います。

翌1855年には、ニューヨークのクリスタルパレスの世界博覧会にスクエアピアノを出品します。最初の1音を聞いて、「審査員が一人、また一人と集まってきた」とニューヨーク・タイムズ紙は語り、スタインウェイはついに満場一致で金メダルを獲得します。これらのピアノに使われていたのは、スタインウェイが世界に誇る交差弦方式、ダブルエスケートメントアクションの改良と一体成型の鉄のフレームです。
それまでの木製プレートや、エラールで使われていた2分割の金属プレートとは桁違いの堅牢さを持つフレームは、音量と音質の向上を支える役割を果たしました。

大ホールでの演奏を追求したテオドールの特許

ヘンリーJr.の死後、アメリカに渡った長男テオドールはその跡を受け継ぎ、新たに53件の特許を取得しました。テオドールは1868年にアップライトピアノに関する特許を取得した後、1869年にはグランドピアノの金属製アクション台の特許を取得し、その後10年間で40件近く取得。さらにその後6年の間に14の特許を取得しました。

そして、1875年にはコンサートグランドピアノの礎となる特許を取得し、スタインウェイ・グランドピアノを完成させたのです。

テオドールの研究開発の目的は、ただひたすらにピアノの音量の増大と音色の改良に努めたものであるとされます。その理由は、1866年、2000席の大ホールであるスタインウェイホールをオープンさせたことに集約されるでしょう。
ヨーロッパから渡ってきた脆弱なグランドピアノを、どのようにアメリカの気候や広大な大陸間輸送などの環境に順応させ、大音響を奏でさせることができるかという課題を解決するために、自身が名ピアニストでもあったテオドールは、友人の科学者ヘルマン・フォン・ヘルムホルツとともに研究を重ねました。

科学的な観点から、「弦が長くて強いほど、大きくて迫力のある音が出る」という結論を得ます。しかしながら、弦を強く張ればリム(側板)に強い力がかかり壊れてしまう恐れがあるのです。大音響のための最重要課題は、弦の張力に負けない強靭な躯体を作ることでした。
そして、強靭なリムは薄い板を貼り合わせることにより実現されます。スタインウェイのリムは、17枚の薄い板を張り合わせることにより、強靭さとしなやかさを兼ね備えることになったのです。これこそがスタインウェイならではの画期的なデザインとなりました。

ヘンリーJr.とテオドールによる最新の技術開発により、140年前にスタインウェイ・コンサートグランドピアノの礎が築かれました。スタインウェイの最新モデルは、1930年製のベビーグランドピアノであるということ、また世界の他のピアノメーカーがスタインウェイの技術を次々に採用しているということからも、スタインウェイの初期の特許が現在のコンサートグランドピアノの基本だと窺い知ることができるのです。

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